カリコボーズの休暇村・米良の庄
宮崎県西米良村は、宮崎市の中心部から車で約1時間30分、熊本県との境にある九州山地の中央部にある小さな村です。春には山桜が村内各地に咲き乱れ、夏には清流一ツ瀬川で鮎が跳ねる姿が見て秋には紅葉を堪能します。そして冬には村内各地で西米良神楽が奉納されます。西米良村は一年を通じて様々な魅力を楽しむことができる、桃源郷のような村です。
西米良村は、豊かな自然と懐かしい風景、美味しい食事、泉質が自慢の温泉、そして親しみやすい村民とのふれあいを目的に多くの観光客が訪れます。大きなスーパーやコンビニはありませんが、村民はきれいな空気や水などの自然の恵みを享受しながら、人と人の繋がりを大切にする心豊かな暮らしを送っています。
西米良村には、カリコボーズという精霊が伝わる伝説があります。カリコボーズは、春の彼岸から夏にかけて川に下り「水の神」となり、秋の彼岸から冬にかけては山に登り「山の神」となるとされています。少しのいたずらもしますが悪さはしないとされ、村内各地に様々な逸話が残されています。山の仕事をするときには塩や米、焼酎を供えて山の神様に祈る習慣があり、これを怠るとカリコボーズが家を揺すって驚かせると言い伝えられています。
西米良村の特産品としては、香り高い柚子があります。季節によって青柚子と黄柚子が収穫され、夏場の青柚子は柚子胡椒に、晩秋の黄柚子はドリンクやポン酢、ドレッシングに使われます。寒暖差のある斜面で栽培されるため、他県の柚子に比べて香りが非常に高くなります。
また、西米良村では古くから山の恩恵を受けて生活しており、鹿や猪といったジビエが貴重なタンパク源として重宝されてきました。尊い命をいただくことに感謝し、無駄にすることなく美味しく味わう食の哲学が受け継がれています。
西米良村では標高約640メートルの山を切り拓き、先代が作った田んぼを守り続けてきました。研究と実践を重ね、より良い米を追求してきた結果、西米良の米は一粒一粒に旨みと甘みが凝縮されており、日本の宝とも言える食材となっています。