食の文化とライム産業が育む定住拠点
大分県津久見市は、県の東海岸にある市で、県内で最も人口が少ない市です。県の中心都市である大分市から南東に約30キロメートル、豊後水道に面した海沿いにあります。リアス式の海岸線が特徴で、山地斜面のみかん栽培の段々畑とのコントラストが、ブルーとオレンジの風光明媚な景観を形成しています。
津久見市は九州の中でも比較的温暖な気候に恵まれ、自然災害が少ない地域。台風の襲来や冬の厳しい季節風から守られており、気候条件が穏やか。
津久見市は「甘夏」発祥の地であり、日本最古のみかんの木である「尾崎小ミカン先祖木」が存在するなど、みかん栽培が中心の農業が発展してきました。
漁業も盛んで、豊かな漁場に恵まれています。特に明治時代から続く保戸島のまぐろ遠洋漁業は全国有数の水揚げ量を誇っています。
また、石灰石の生産量は全国トップクラスであり、良質な石灰石によるセメント産業で栄えてきました。このため、市内には石灰鉱山の独特な景観が広がり、セメント工場があることから「セメント町」という地名も存在します。
津久見市は、キリシタン大名として知られる大友宗麟の終焉の地でもあり、扇子踊りを代表とする伝統芸能や伝統文化も大切に継承されています。