自然と歴史が息づくやすらぎの町
下市町は奈良県のほぼ中央にある町で、清流吉野川(紀の川)に面しています。車では大阪方面から約1時間20分、電車では近鉄大阪阿部野橋駅から特急で約1時間です(近鉄下市口駅下車)。日本最初の商業手形「下市札」の発祥地であり、中世以降、吉野山地と大和平野を結ぶ交通の要衝として交易が盛んに行われ、市場町として栄えました。良質な吉野杉や桧を素材とした地場産業が発展しています。
下市町は長い歴史と風土とともに育まれてきた伝統工芸が豊富で、人のぬくもりに培われた数々の農作物や加工品が自慢です。
割り箸の発祥地として知られ、南北朝時代、吉野の後醍醐天皇に下市の里人が杉箸を献上し、その美しい柾目と芳香を喜ばれたことから、公家や僧侶に広まり、今日に至っています。一本いっぽん巧みに加工された下市の割り箸は、吉野杉の美しさを見事に表現しており、最近ではエコグッズとしても注目されています。
三宝や神具も、古くから下市で生産されていました。後醍醐天皇が吉野に皇居を移された際に、献上物の器として三宝が用いられたのが始まりで、豊富な吉野ヒノキを加工した伝統産業となっています。
また、豊富な吉野杉を利用して、徳川中期以降に伊丹、灘、伏見などの芳醇な酒の器として発展しました。杉独特の木目と香りに伝統的な技術があいまって、多くの愛好者がいます。
下市元気印朝市では、地元の農家が集まり、新鮮で安全な農林産物や加工品、切り花、苗木などの特産品を販売しています。毎週土曜日の午前9時から10時まで開催されています。